株式会社ファーストリテイリング/ユニクロ
株式会社ユニクロ 営業部
スーパーバイザー 望月 隆宏



kp_uniqlo_mochiduki0http://www.fastretailing.com/jp/

大学卒業後、人と接する仕事を希望し大阪のホテルに入社。2000年9月に中途採用にて㈱ファーストリテイリングに店長候補として入社。
その後店長に昇格、3店舗の店長として実績を挙げた後、西日本の中でも最も売上げの高い店舗の一つである梅田店の店長に。その後、西日本最大級の神戸ハーバーランド店のオープン店長に抜擢される。実績を認められその後スーパースター店長に。2008年3月よりスーパーバイザーとなり、現在に至る。


「独立自尊の商売人」というフレーズに憧れて、入社を決意しました

kp_uniqlo_mochiduki1

Q:まず、望月さんのご経歴と、ファーストリテイリング(以下:FR)に入られるまでの経緯をお聞かせいただけますか?

望月氏(以下:M):学生の頃からサービス業に憧れていたこともあり、大学卒業後は、国内の大手ホテルへ入社しました。バンケットの現場を二年くらい経験した後、法人営業へ異動となり、企業が開催するパーティなどの企画、運営等を担当しました。
仕事は楽しかったのですが、いわゆる、古き良き日本企業でしたので、年功序列な給与体系などに物足りなさを感じ、転職をしてもっと自分の力を試したいと思うようになりました。
当時、アパレル業界への興味が高かったわけでもなく、ユニクロで買い物をしたこともありませんでしたが、お客様との会話の中で、今伸びている企業としてユニクロのことが話題にあがり、興味を持つようになって、店にも足を運ぶようになりました。
そんなある時、ユニクロの「店長求む!独立自尊の商売人」という採用広告のフレーズが目に入りました。
そこには、スーパースター店長(以下:SS店長)という制度があって、自分の裁量で考え、実行した結果が、給与にも反映される完全実力主義、というメッセージがあり、とても魅力を感じて、面接を受けに行きました。
二回目の面接のときに、当時の副社長から、一緒に頑張ろう!と握手を受け、その決断の早さと、会社の風土に勢いを感じ、「よし、この会社で頑張っていこう」と悩むことなく入社を決意しました。29歳の時です。



kp_uniqlo_mochiduki2

Q:入社されてみて、いかがでしたか?

M:すぐに辞めようと思いました(笑)。当時、僕が入社した1ヵ月後にフリースが爆発的ヒットをし、ただ朝から晩まで働くだけで、これからどこを目指すべきなのかという方向性も見えず、つらい状態が3、4ヶ月程続きました。
フリースブームが落ち着いてきた頃から、店の流れも少しずつ見えてきて、5年でSS店長になりたいという明確な目標ができました。上司にもその目標を共有して理解してもらい、そこからはSS店長を目指してひたすら頑張りました。


店長には、自分で店を創りあげていくことのおもしろさを伝えていきたい。それが僕がスーパーバイザーであることの意味だと思っています

kp_uniqlo_mochiduki3

Q:念願のSS店長になられてみて、いかがでしたか?

M:それが、SS店長としてのやりがいを実感する間もなく、すぐ半年後にスーパーバイザーの辞令が出ました。
せっかくSS店長になることができたのに、すぐ異動になってしまったのと、僕は、先程お話した通り、「独立自尊の商売人」というフレーズに憧れて入社をし、店長という一国一城の主というところに魅力を感じて頑張ってきたので、店長を育成するスーパーバイザーというポジションには、最初は正直、迷いや戸惑いがありました。
でも、「望月さんが持っているノウハウを、これからは後輩の店長達に教えていってください。」と言われ、店長を育成することが、会社への貢献にも繋がるんだと考え直し、引き受けることにしました。

Q:会社への貢献のために、後輩の育成をするべきだと考えたのは、それくらいFRという会社に対して思い入れがあるということですよね。

M:そうですね。ユニクロを世界一にしたいという思いは強く持っています。
今は、自分と同じように現場を極めている店長をたくさん育てることが、会社が世界一になることへの近道だと思っています。

Q:スーパーバイザーになられてからは、いかがですか?

M:自分が店長の頃は、店を良くするために色々な工夫をし、その結果がすぐ売上げ数字として表れることが楽しかったのですが、店長を育成するというのは、すぐに結果が出ることではないんだと実感しています。現在は、スーパーバイザーになって一年が経ち、10名の店長の指導・育成をしていますが、まだなかなか思うようにはいかず、歯痒く感じることもあります。

Q具体的に、どのようなことがうまくいかないと感じていらっしゃるのでしょうか?

M:もちろん各店に足を運びますが、現場を常に見ていない中での電話やメールのコミュニケーションでは、僕が言っていることがどこまで伝わっているのかがわかりにくく、最初は離れたところから指導することの難しさを感じました。
そして、もちろん、スーパーバイザーは店長をサポートするためにいるので、自分の経験をもとに、高いレベルでお客様へのサービスを考え、最短で成果が出る方法を教えたいと思っていたのですが、実際は、日々の仕事をこなすことに精一杯になってしまっている店長が増えているのが現実です。まずはそこをどう変えていくかというところから取り組んでいます。



kp_uniqlo_mochiduki4

Q:そうなってしまっている原因や課題は、どのようなところにあると思われますか?

M:僕が店長だった10年前に比べると、今の店長は管理業務が多く、仕事が細かくなっています。そのオペレーションを、ミスなくこなすことに集中してしまい、それ以上のことを工夫してお客様のサービスレベルや、売上げを上げることを考えることが難しくなってしまっています。でも、僕は、そこを超えてほしい。
例えば、今はシステムが整っていて、在庫も自動発注ができるようになっていますが、店長が店のことを考えて自分の意思で追加発注をし、その結果、失敗して過剰な在庫を抱えてしまったとしても、それが店をもっと良くしたいという思いから起こった失敗なら、僕はいいと思うんです。
オペレーションをこなすことに精一杯になっている状態から脱却できないのは、失敗を恐れ、ミスを起こすことに敏感になって縮こまってしまっているからではないかなと思います。

Q:そのような現状を変えるために、具体的には、どのような工夫や改善をされていらっしゃいますか?

M:会社としてもこのことを課題に感じ、今春から、基本を行った上で、更に創意工夫をし、より高いレベルで考えられるようになる、というところを評価基準に反映させるようになりました。今後はこの風土が広まり、自然と意識も変わってくるのではないかと思っています。
僕個人としては、一人一人やり方を変えて、話をするようにしています。それまでは、全員統一して同じやり方を実行してもらっていましたが、行動力やモチベーションも様々で、全員の足並みを揃えるというのは難しいと気付きました。一人一人ときちんと話をするようにし、思いを受け止めた上で、その店長に合ったやり方で指導をするようにしています。最近は、僕の言うことを理解して動き始めてくれた店長も出てきました。
やはり、店長には、自分の店を自分で創りあげていくことのやりがいや、おもしろさを伝えていきたいし、伝えていかなくてはいけないと思います。それが、自分がスーパーバイザーであることの意味だと思っています。


自分はFRでこうなっていきたい、という思いを持っている人に入社してほしい。世界一になるために、本当に強い集団をつくりたいんです

kp_uniqlo_mochiduki5

Q:望月さんは、FRにはどのような人材が合っていると思われますか?
また、望月さん自身はどのような人と一緒に働きたいですか?

M:FRを自分のキャリアのステップとして考えるのではなく、FRで自分はこうなっていきたいという思いを持っている人に、是非仲間として加わってほしいです。会社と一緒に、世界一を目指したいと思える人であれば、ベストだと思います。
そして、もちろん、僕らは上司として部下に成功体験を積ませてあげたいと思っていますが、それがうまくいかないこともあるので、言われたことの意味に気付き、自ら行動を起こせる人と一緒に働きたいです。

Q:望月さんとほぼ同時期に入社された方の中で、SS店長まで上がられたのは望月さんお一人だという話をお聞きしました。
望月さんは、これまでのご自身を振り返ってみて、その理由がどのようなところにあると思われますか?

M:僕は、上司や周りの人に恵まれていたんだと思います。
何をすればいいかわからなくなった時に、当時の上司に率直に聞いたら、毎日、毎週、徹底的にやるべきことを教えてもらい、僕はそれを言われた通りに実行しただけです。自分が特別なことをしていると思ったことはありませんでした。
ただ、例えばその徹底事項の中に、毎週本部の会議に参加するという項目があり、最初は同時期に店長に昇格した人達も来ていたのですが、いつのまにか誰も来なくなりました。他の店長の中にはそれを実行した人がいなかっただけなのかもしれません。
やるべきことを、やり続ける。当たり前のことですが、それがとても大切なのではないかと思います。

Q:これから先、望月さんがFRの中で目指していることは、どのようなことでしょうか?
また、将来的には自分はどうなっていたいと思われますか?

M:近い目標としては、今指導をしている店長達に、売上げと顧客満足を達成した上で、成果を出してもらい、全員に昇格してほしいと思っています。本当の意味で、強い集団をつくっていきたいです。
そして、今のスーパーバイザーという仕事もやりがいはあるのですが、いずれは、やはり自分が、東京の要となる店の店長をやりたいです。
世界から、「東京=ユニクロ」と言われるようになるために、今後は日本の中でも中心である東京を発信地にして、ユニクロを発信していくという構想があるので、そこに参画したいと思っています。



kp_uniqlo_mochiduki6

Q:お話を聞いていると、本当にユニクロが好きだという気持ちが伝わってくるのですが、望月さんがそれほどまでに思う、ユニクロの良さとはどういうところでしょうか?

M:まず、会社のスピードに追いつくように、常に自分を向上させていきたいという緊張感があります。そして、社員に、「FRの目標は何ですか?」と聞くと、全員同じ答えが返ってくると思いますが、「世界一になる」ということを、本気で考え、実現させようとしている会社は他にないと思いますし、とても誇りに思っています。自分も、常にそこに貢献できる人材でありたいです。

Q:最後に、望月さんにとって、仕事とは?

M:僕の中で、仕事とは、ユニクロそのものです。
心から、入社してよかったと思っていますし、転職なんて考えたこともありません。
将来、会社が世界一になることを成し遂げた後は、ユニクロのフランチャイズをやらせてもらいたいと思っています。生涯、ユニクロで仕事をしていたいです。


日時:2009年6月1日(月)
形式:株式会社ユニクロ 望月氏・スピリッツ 河野 対談