株式会社ファーストリテイリング/ユニクロ
株式会社ユニクロ
ユニクロ大学 担当 清 智彦



kp_uniqlo_sei0http://www.fastretailing.com/jp/

2000年に新卒で大手飲食チェーンに入社後、退社し、2000年10月にFR入社。
店長、SVの経験を経て、2007年3月より教育機関であるユニクロ大学へ異動。現在に至る。

FRは、人生をかけて不足なしの会社です


入社して、まず嬉しかったのは、「すごく正直な会社だ。」ということでした

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Q:まずは、FRに入社するきっかけを教えていただけますか?

清(以下:S):私は、中途採用でファーストリテイリング(以下FR)に入社しました。新卒で入社した会社は、大手飲食チェーンだったのですが、半年で退職しました。

Q:半年ですか!それは、なかなか早い退職でしたね。

S:ええ、あっという間でした。(笑)もともと商売をやりたい、自ら仕事を作り出していけるような環境の中で、働きたいという気持ちが強く、それを期待し、前職の会社を選んだのですが、当時の上司である店長には、あまり権限が任されておらず、自ら仕事を作り出すというよりは、マニュアルを正しく遂行することが評価基準であったというのが、疑問を持ち始めた理由です。また、上司と会社の将来について話しをする機会があった時にその上司が、会社が目指していることを理解しておらず、語り合えなかったということが大きかったですね。
ちょうど、その頃、急成長中だったユニクロをメディアなどで目にすることが多く、どんな会社なんだろうという興味は持っていました。まだまだ百貨店やGMSの売上規模が勝っていた頃に、日本一になってもいないのに、「世界一を目指す。」と大きな目標を掲げているFRという会社にいる人たちが、素直に、羨ましいなと思いました。(笑)
また、「服は部品。」「部品である服の組み合わせによって、人が個性を発揮する。」という考えが新しく本質的だなと共感したことも興味をもった理由です。
それで、話を聞いてみたいと思い、応募をしたわけです。



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Q:面接はどうでしたか?

S:丸腰でいくのもなんだと思いまして、事前にユニクロのお店に行き、レポートを作成してから面接に臨みました。最初にお会いした面接官からは、「いいレポートですね!」と褒められて、「よし!」と思ったのですが、次にお会いした人事責任者の方には、「なんで、半年で今の会社を辞めるんだ?」と散々突っ込まれました。(笑)一次面接で提出したレポートも見せたら、
「そんなものはいらない。いったい君はこの会社で何がしたいんだ!」とさらに詰め寄られました。(笑)
それで、自分をさらけ出して、「商売がしたい。自分の力で自分が納得するお店を作って、お客様に喜んで欲しい。」と答えている自分がいて。話し終わったら、いきなり当時の副社長が出てきて、その場で採用が決まりました。
そのスピード感にもびっくりしたのを覚えています。

Q:実際入社してみて、いかがでしたか?

S:入社して、まず嬉しかったのは、「すごく正直な会社だ。」ということでした。
例えば、残業について。ある日、自分のシフト時間が終了したけれど、商品整理が終わっていなかったので、協力しようと思って残業をしていたんです。そしたら、その時の店長にすごく怒られました。「サービス残業をして出した成果には、何の意味もない!」と。
正しい工夫で生産性を上げることが評価されるし、そうでなければ会社も人も本当の意味で成長できないという考え方に感動しました。
また、もう一つよかったと思ったのは、「まだまだ伸びる可能性がある会社だ。」ということ。お店の在庫コントロールひとつとっても、まだまだ工夫できる余地を感じたんです。これだけ成長している会社なのに、まだ、課題が山積みで変えられるところがある。それを感じて、ワクワクしました。



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前職の「店長」とユニクロの「店長」と、肩書は一緒でも、まったく責任範囲が違っていました

Q:その後順調に活躍されたのですか?

S:店長になるのは、早かったですね。「完全実力主義」に嘘はなかったと思いました。やっぱり正直な会社だったと。
でも、店長になってから、少し足踏み状態が続きました。早くに店長になり、自分はイケてるんじゃないかと。(笑)天狗になっている時期があったと思います。

Q:天狗になっていた清さんに「まだまだ」と気づかせてくれたのは、どういうきっかけだったんですか。

S:上司です。天狗になるたびに、さまざまな上司から素晴らしいアドバイスをもらえてることが財産ですね。
それまで、評価されていると思っていた自分に、ある上司から、「清くんは自分はできていると思って現状に満足しているだろう。今のままいけばいつか目標が達成できると漠然と考えているだろう。清君には具体的な目標があるのか。遠い将来の目標だけでなく、目の前の近い将来の具体的な目標をつくらないといけない。」と言われたんです。それから、最短でスーパーバイザー職になるという目標設定をし、達成するための半年、1年の目標を具体的に落とすことができました。この目標設定をしたことで、いかに自分が、口先だけで実態のないことばかりを言っていたか、具体的なことを何一つ考えていなかったか、振り返ることができたんです。
それによって、成果も出始めました。初期のブレークスルーは、その時ですね。
また、昇級試験にも2回ほど、落ちました。それにわだかまりを持ってしまい沸々としていた時に、上司から「清くんは、一生懸命やっているが、自分一人でやっている。働いているみんなもおもしろくない。ひとりよがりの店長になってしまっている。」とアドバイスを受けました。たしかに、サークルのように仲のよい組織になっていたが、仕事人として業績を上げること、高い目標をもって動く組織になっていなかったと気づきました。自分がわだかまっている様子をわかって、アドバイスしてくれた上司に本当に感謝してます。おかげで、その後に担当した新しいお店は、会社から表彰されるほどのいいお店にすることができました。それが、入社3年目の26歳の頃です。メンバーの数も60名くらいになってました。
前職の「店長」とユニクロの「店長」と、肩書は一緒でも、まったく責任範囲が違っていました。このころから、少しづつ脱皮していけたような気がします。



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どんなに高い目標もスローガンで終わらせない。上司と部下が一緒になってそれを実現しようとする。それがFRの強さだと思います

Q:26歳で60名のスタッフを束ね、お店の売上だけでなく、損益も管理するという責任。同世代、たとえば学生時代の友人の方と会った時にギャップを感じませんでしたか?

S:正直、感じました。あくまでも僕の印象なのですが、会話をしていても、視野が狭いというか、範囲が狭いというか。与えられた仕事に対して楽しいという人があまりいなくて、上司や会社の風土に対する愚痴を聞くことが多かったですね。
自分は店長として、責任が重い分、やりたいようにやれる環境にいるのに、
同じ学校を出て、同じように社会人としてスタートし、むしろ自分よりも明らかに優秀な友人が、そういったことを言っているのは、もったいないなーと本当に思いました。

Q:そのご友人の中で、清さんのように、目標を明確にもっていた人はいましたか?

S:ほとんどいなかったですね。近い将来の目標を具体的に明言するのは、けっこう勇気がいると思うんですよね。達成できなかったら、恥ずかしいとか。でも、掲げた以上、努力する!
自分はそう思えるようになりました。



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Q:そもそも、清さんは、何事も目標を明確にする人だったのですか?

S:いえ。そんな人間じゃありませんでした。ユニクロという会社、組織が変えてくれたと思います。社長以下、全員そういう発想ですからね。目標が、スローガンになってしまいがちな会社が多いと思うのですが、どんな高い目標もスローガンで終わらせない。それがFRの強さだと思います。

Q:目標をスローガンで終わらせないFRの強さは、社外の方にもさまざまなメディアなどを通して知られていると思いますが、むしろ知られていない強さって、清さんは何だと思いますか。

S:おそらく、社外の方からは、人に対しても合理的で、冷たいとか、生産性を上げるためにマシーンのように動いているというイメージがあるかもしれませんが、実は、人を育てることに、とても熱い会社だと思います。人を育てることが当たり前で、育てることができる人が評価されるのが風土として根付いている会社です。
その結果として、生意気な言い方ですが、その人たちが上司であることが部下として納得ができる。上司が部下に期待し、部下はその期待に応えようと努力して成果を出す。すると上司は更に大きな期待を部下にかけてくるので、部下は更に努力を重ねる。このサイクルが全ての上司と部下の間で回っていることはFRのすごい強みだと思っています。


普通の会社では、針に糸を通すような数少ないチャンスが、FRにはたくさん用意されていると思います

Q:現在は、SVから本部のユニクロ大学(教育研修企画、運営部門)に異動され活躍されている清さんですが、今後、どのようなチャレンジをしていきたいと思っていますか。

S:自分は、意図的に視野を広くしないと狭くなってしまうタイプだと思うんです。
それが、理由で、SVから今の業務に異動しました。今後も、本当に商売ができる人間になるために、もっといろんな環境に身を置いて視野を広げる訓練をしたいと思っています。例えば、海外に行くとか。やはり、グローバルに通用する人間になりたいと思います。
仲良くしていただいている上司が、現在UKの経営を任されているのですが、自分と一緒にお店を運営していた頃の上司と、UKを任されてからの上司は、明らかに違う人になっています。後輩の自分が言うのもなんですが、すごく成長されていると思うんです。
身近な先輩や上司が、そばで見ていて「成長しているなー。」と感じられる会社って、そんなにないですよね。恵まれていると思います。

Q:もちろん努力が必要ですが、FRには、希望すれば、叶えてもらえるチャンスがあるってことですね。

S:そうなんです。成果を上げ、強く願えば叶えてくれる会社。目指さないなんていうのはもったいないですよね。普通の会社では、針に糸を通すような数少ないチャンスが、FRにはたくさん用意されていると思います。

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Q:振り返ってみると、入社した頃の清さんと現在の清さんとは、ずいぶん仕事に対する考えに変化があるように感じますね。

S:一言、「商売は、そんなに甘いもんじゃない」ということがわかったということでしょうか。FRに入社することで、商売の意味がわかってきた気がします。上っ面な考えで商売を解釈していた自分がいました。今は、言葉先行ではなく、「お客様に1枚1枚の商品を買っていただくことの積み重ね」が商売の基本であり、そのことの難しさを知りました。

Q:最後に、清さんにとって仕事とはなんでしょう。

S:人生そのもの。「仕事と思うな、人生と思え。」というのが好きな言葉です。
まさに、FRは、人生をかけて不足なしの会社です。


日時:2009年8月19日(水)
形式:株式会社ユニクロ 清氏・スピリッツ 河野 対談